【レビュー】COROS APEX 2 PRO

ランナー、トレイルランナーといえば、やはり GPS ウォッチは欠かせないアイテムの一つだと私は思います。初めて買った GPS ウォッチは Garmin Forerunner シリーズ。 その後は、Suunto Ambit、今は無き EPSON の Wristable GPS for Trek などを愛用し、ここ3〜4年は中国のスマートウォッチブランドである Amazfit(アメーズフィット) 製の GPS ウォッチをコスパの良さから愛用していました。

長年、もう10年以上ですかね、いくつものブランド、モデルを使い倒していましたが、2022年に新たに米国の COROS (カロス)の GPS ウォッチに買い換えることにしました。モデルは「COROS APEX 2 PRO」というもので、2022年11月にグローバルで新発売された製品です。久しぶりのブランドチェンジする事ということでめっちゃワクワクしてポチりました。ブランドが異なると、使い勝手も異なるし、ソフトウェアの世界観も異なります。

COROS は、日本だとまだ馴染みのないブランドだと思いますが、COROS は2016年に創業したばかりの企業で、クラウドファンディングで資金を集めてスマートヘルメット(自転車用)を商品開発したのがはじまり。その後、2018年に同社初の GPS ウォッチをリリース。その後は、世界のキリアン・ジョルネやフルマラソンの世界記録保持者のエリウド・キプチョゲが愛用する世界トップアスリートに支持されるブランドに成長するといった感じです。GPS ウォッチ界のユニコーン企業といったところでしょうか。

さて、今回購入させていただいた COROS APEX 2 PRO について、日頃のトレーニングから、日常生活まで約2ヶ月使ってみた感想を述べていきたいと思います。

COROS APEX 2 PRO の製品概要

COROS には、3つのシリーズが存在し、「PACE(ロードランニング)」、「VERTIX(登山用)」、そして今回購入した 「APEX(トレイルランニング用)」という構成になっています。

今回購入した APEX 2 PRO は、APEX シリーズの2世代目の製品で、通常モデルと PRO モデルが存在。PRO モデルは、通常モデルよりも GPS 精度をより高めて、そしてロングバッテリー仕様になったものです。バッテリー容量が大きくなったので、その分重量も少し重たくなっています(通常:42g、Pro:53g(ナイロンバンド着用時))。それ以外には、機能的な差はなし。

トレイルランナーとしては一番気になるバッテリーの持ちですが、APEX 2 PRO は最長で75時間(標準フルGPSモード)。あとは、GPSのモードをより精度の高いものに変更すると、45時間だったり、26時間だったりするのですが、通常は標準フルGPSモードでも十分じゃないかなと思います。とりあえず、100マイルレースぐらいであれば十分な容量になると思います。

また、日常生活でも使用できそうな機能として、スマートフォンと Bluetooth と接続して着信やアプリからの通知も時計側にバイブで知らせてくれる機能もあります。昔の スポーツ用の GPS ウォッチってこういう機能がなかったのですが、最近 Apple Watch や Pixel Watch などのスマートウォッチが流行りまくっているためか、こういう機能も実装されるようになったんですね。

APEX 2 PRO の価格は、73,700円(税込み)。Garmin や Sunnto の最上位モデルや、あと Apple が最近リリースした Apple Watch Ultra とかだと、軽く10万円以上するのですが、それを考えるとかなり良心的な価格設定かと思います。

使ってみた感想

長年、中国メーカーの Aamzfit を使っていたこともあるので、半分その製品との比較にはなってしまいますが、使った感想としては、以下のような感じです。

  • ナイロンバンドの腕のフィット感が素晴らしい
  • クラウン(時計の右についているクルクル回るダイヤル)は、手袋のままでも使いやすい
  • 心拍計の精度も高い
  • スマートフォンアプリの作り込みが非常に良くて、データ分析がこれだけでもOK
  • 液晶採用のため時計が常時点灯なのはなにげに便利
  • GPX データを取り込んで、時計上でルート確認が可能
  • 運動中に表示したい指標やレイアウトを自由に変更できる
  • 省エネ設計のためか、Blutooth との接続が時々失敗する
  • Insta 360 Go2 との接続機能があって、時計からビデオ録画再生の制御が可能

Coros Apex 2 Pro を初めて手にとったときの質感の高さに驚きました。

中国メーカーのは安いのはいいのですが、やっぱりどこかコスト削減のためか、垢抜けているところがあるので・・・最近の Suunto や Garmin の製品を触っていないので比較はできないのですが、普通に Coros Apex 2 Pro 質感いいと思いました。もちろん、ところどころ樹脂なパーツはあるが、これは軽量化だったり、GPS の電波捕捉などの技術的な要因もあると思います。フォーマルな場所での着用は難しいが、普段使いでは十分だと思います(僕はフォーマルの場所でも着用しますが・・・w)。

あとは、心拍計の精度の高さ。ランナーとして、心拍数でのトレーニング管理は重要な要素だと思うのですが、ここの精度の高さも妥協はしたくない!! 使った感想としては、中国メーカーのより明らかに精度が高く、そして測定も安定しています。やっぱり本体価格2〜3万円と、7.3万円では積んでいる光学式センサーが違うんだろうな。胸ベルトタイプとの比較などはやっていませんが、感覚値としてはほぼ合っている数値を記録していると思います。

運動時における指標を自由に選べる

運動時における指標(距離、心拍数、標高、時刻など)も、スマートフォンのアプリから自由にレイアウトを変更できるようになっています。これ、なにげに便利です。トレイルランニング中は、距離や時刻、経過時間だけでなく、標高や現在の心拍数を一つの画面で見られたら便利なので、こういう設定をしています。基本的にはページ1のところを固定にして、使っていて、それ以降のページに関しては、今後使いながらカスタマイズしていく感じで運用しています。

Amazfit では、こういった機能が実装されていなかったので、標高と距離が同じ画面では表示されず、切り替える必要性がありました。ただ、Coros では自由に画面構成を変更できるので、自分にあったものをチョイスがきるのがいいところです。

レース中はマストなナビゲーションと高低図

最近は、GPX データを配布している大会主催者が増えており、スマートフォンや GPX 対応の時計に取り込んで、コースから外れないようにするための配慮です。スマートフォンだと、毎回ロック解除して見ないといけない手間があるのですが、時計ですと、画面は小さいがすぐに確認ができるメリットがあります。

私が以前使っていた Amazfit にも一部のモデルには、GPX データを使ってナビゲートしてくれる機能はありましたが、高低図の表示までは対応していませんでした。Coros Apex 2 Pro には、地図によるナビゲート機能だけでなく、高低図も表示することもできます。これは、トレイルランニングレースのときには重宝する情報で、あとどれだけ登れば山頂なのか、数10km先のコースはどうなっているか、などの情報があると、ペース配分や補給計画などがやりやすくなります(あとは精神安定剤にもなる)。

個人的には、右側の画像の高低図が見やすくて、「今回のコースでは累積で1187m登らないと行けないが、現在はどこまで登っている」といった情報がひと目で見られるのはいいですね。また、現在地もわかりやすく表示されているため、次は更に登る必要があるのか、それとも下りが待っているのかなどの情報がひと目で見られます。よく出来ています。

左側の画像のナビゲーション機能に関しては、流石にスマートフォンに比べると見ずらいが、どの方向に行く必要があるのかといった情報は見えるので、逆走していないか、それとも大きくルートがズレていないかなどは確認はできると思います。

GPS 連続測定時のバッテリーの持ちに関して

こちらは実測値があるので、参考にしてみてください。

  • スタート時点で99%の残量があり、4時間のトレイル後に93%まで減少
  • 外気温は0~2度
  • 標準フルGPSモードで、GPXデータによるナビゲーション機能はON
  • 推定連続稼働時間は66時間程度(カタログスペック:標準フルGPSモードでは最大75時間)

真冬のトレイルを走ったのでリチウムイオン電池にとっては少し厳しい環境下ではありますが、GPXナビゲーション機能をONにした状態で推定66時間を持つのは、十分なスペックではないかと思います。少なくとも100マイルレースでは、途中で充電しなくても持つという計算になります。

こちらの測定結果は、購入して3週間後に測定して結果ですので、長く使うとバッテリーもヘタるし、ソフトウェアのアップデートや利用状況によって変化するので、あくまで参考程度としてください。

スマートフォンのアプリの作り込み。

Coros のスマートフォンアプリ、これが一番使っていて感動したところです。購入する前から「COROS は、ソフトウェアの作り込みがいい」という評判だったので期待はしていたのですが、ホンマにアプリの作り込みがいいと感じました。

Garmin や Suunto などの、Coros とは直接なライバルにも似たような機能は実装されているとは思いますが、こういう科学的な(統計的な?)指標でランナーのパフォーマンスであったり、トレーニングの内容を数値化してくれるのはモチベーション維持やトレーニング内容の見直しにも非常に役立つとは感じています。また、ヘルプに関してはほぼすべて日本語化しているので、指標の説明であったり、どうすれば改善するといったところも説明されているので、トレーニングの参考になっています。

特にランニングレベルの指標は、私自身とても参考にしていて、日々のトレーニングやレースを通して、どれだけレベルが上ったのか、想定されるフルマラソン、ハーフマラソンなどの走力などが確認できます。これがモチベーションの維持に役立っているのではないかと思います。

これらのデータを、無償で使えるのは素晴らしいと思います。エンジニア目線でみると、スマートフォンアプリ側でデータ分析する基盤も、それなりにクラウドコンピューティングの使用料がかかっているとは思うのですが、多分通常なら月額数百円課金されてもおかしくないとは思うんですね。これが無償で使えるのは素晴らしい。

あと、Strava のデータ連携もサポートされているので、Suunto や Garmin 使っている人も安心です。

改善してほしいところ

まずは、通知機能ですが、Apple Watch や 中国メーカーのスポーツウォッチとは異なり、バッテリーの持ちを重視しているためか、時々 Bluetooth の接続が切れていることがあり、通知が来ないことがあります。これは、本体側でも Bluetooth の接続が切っていることがアイコンで出ているので、そういう設計なのかもしれません。ここは、設定で常時接続などの設定があるといいかなと思いました。

あとは、睡眠計測とアラーム機能(目覚まし時計)は実装されているのですが、Xiaomi Mi Band のように眠りが浅いタイミングでバイブしてくれる機能があるといいかなと思いました。設定できるのかなと色々探ってはみたのですが、どうやらこの機能がなさげです。

まとめ

Coros Apex 2 Pro は、買ってよかったプロダクトだと私は感じます。GPS ウォッチは、年々機能が良くなっていているためか、値段も高くなってきているが、Coros は、Garmin や Suunto に比べると少し安い価格設定になっているのが非常に良心的です。また、アプリの実装も良く出来ていて、使いやすいと感じました。

あと、2/1に全世界 5000 個限定でキリアンモデルがリリースされましたので、興味ある方はどうぞ!

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